マスク国際規格 
  マスク性能の指標には、細菌ろ過効率(BFE)と微粒子ろ過効率(PFE)などがあり、それぞれ国際規格が定められています。
    ・ヨーロッパ:EN規格(EN149)
    ・米国労働安全衛生研究所:NIOSH規格
    ・日本検定規格
 
1. EN規格 CE EN149
ヨーロッパ各国のEU統合により、新しく制定されたヨーロッパ(EN)統一規格のことです。
EN149 FFPは、EN規格に適合した防じんマスクに付けられたものです。

2. NIOSH規格
米国衛生省機関の米国労働安全衛生研究所(NIOSH)が定めた防じんマスクの規格です。N95は、Nは耐油性が無いことを表し(Not resistant to oil)、95は試験粒子を 95% 以上捕集できることを表しています。米国の疾病管理予防センターの医療施設における結核感染防止のためのガイドラインに基づき、結核等の空気感染防止に有効と認められた規格です。

3. 日本検定規格
日本の厚生労働省が防塵マスクについて定めた規格です。
日本国内の労働安全衛生法による粉塵作業現場でマスクを使用する場合は、国家検定品を使うことが法令で義務付けられていますが、ウィルスや災害現場では該当しません。
   
  防じんマスク国際規格の比較 
 
規  格 ヨーロッパ EN規格 米国 NIOSH規格 日本 検定規格
固体粒子 NaCl NaCl NaCl
粒 子 径 0.6μm※ 0.075+0.02μm 0.06〜0.10μm
区  分 使い捨て式 使い捨て式 使い捨て式
微粒子ろ過率
PFE
FFP1:80%以上
FFP2:94%以上
FFP3:99%以上
N95:95%以上
N99:99%以上
 N100:99.97%以上
DS1:80%以上
DS2:95%以上
DS3:99.9%以上
備  考 FFP:Filtering Face Piece
FFP2:中性能
FFP3:高性能
N:Not resistant to oil
(耐油性無し)
D:Disposable
(使い捨て)
S:Solid(個体)
 
   ※EN規格の試験粒子径は質量基準中央径で示し、米国NIOSH規格および日本検定規格は個数基準中央径にて示します。
※米国規格N95は、EN規格FFP2、日本検定規格DS2と同等の性能です。
※マスク規格は、国際間で統一されていないため、各規格において試験方法が異なり、試験数値は一概には比較できません。
 
   
  医療用マスク規格 
  日本には医療用マスクの性能規格基準が存在しませんが、医療現場では湿性生体物質などの液体防御機能が、
マスク防護具として機能が求められています。
医療用マスクの性能は、細菌ろ過効率(BFE)と呼気抵抗(△P)が主な規格性能ですが、グレードによって、
微粒子ろ過効率(PFE)、及び血液不浸透性(FR)を求められます。
米国の医療用マスク規格ASTM(米国試験材料協会)F2100は下記の通りです。
 
  医療用マスクの規格(ASTM F2100-4) 
 
特性 低バリア 中バリア 高バリア
細菌ろ過率 ≧95% ≧98% ≧98%
微粒子ろ過率 対象外 ≧98% ≧98%
空気交換圧 <4.0mmH2O/cm2 <5.0mmH2O/cm2 <5.0mmH2O/cm2
血液不浸透性 80mmHg 120mmHg 160mmHg
 
  マスクの性能指標 
 
1. 細菌ろ過効率(%)【BFE】Bacterial Filtration Efficiency
細菌を含む、平均約3μmの粒子がろ過された率を示します。
ブドウ状球菌(約3μm)をマスクに通し、数値が高い方が性能が良く、医療用マスクでは、95%以上の性能が求められます。


2. 微粒子ろ過効率(%)【PFE】Particle Filtration Efficiency
個数基準中央径平均約0.1μmの微粒子がろ過された率を示します。
微粒子(0.1μm)をマスクに通し、数値が高い方が性能が高いことになります。


3. 空気交換圧(mmH2O/cm2 )【△P】Air Exchange Pressure
呼吸のしやすさを示します。
一定流量の空気をマスクに通して、マスクの前側と後側の圧力差を示します。
数値が低い方が、空気の流れる抵抗が少なく、呼吸がし易いことになります。
高いろ過効率と低い呼気抵抗を両立させる事が、高性能マスクの条件と言えます。


4. 血液不浸透性(mmHg)【FR】Fluid Resistant
液体(血液)が飛散した場合、どの程度の圧力にまで耐えうるかを示します。
血圧(80,120,160mmHg)に相当する圧力で合成血液をマスクに当て、マスク内側成血液の浸透の有無を肉眼で確認します。